未知の世界3
~翔くんの家では~
「俺が仕事で車を走らせてたら、河川敷沿いをかなに似てる人が通ったと思ったんだ。
すごくふらふらしてたし、もしかなだったら体調が悪いんじゃないかと思って。
心配になって声をかけに行ったんだ。」
と翔が両親に話す。
「30分くらい前に幸治くんには、私から連絡したんだけど、まだかしら。」
とお母さんが言った直後、
ピンポーン
「あっ、幸治くんかしら。」
といい、玄関に向かう。
お母さんに連れられて佐藤先生が部屋に入る。
再び翔が佐藤先生に、かなを見つけた時の状況を話す。
すると佐藤先生が、
「ご迷惑をおかけしました。
実は、一週間前にかなが雨の中、走って帰ってくるのを見かけたので、俺がかなをしかったんです。
今まで、と言うか最近なんかは、叱られても平気な顔をしてたのに、その日は部屋に閉じこもってしまって。
その時に体調が悪いか確認もせず、翌朝から昨日まで出張に行って、家を空けてたんです。
あの時に、話を聞いてやれば、こんなことにはならなかったのに。」
と佐藤先生が悲しそうに話す。
「幸治くん、大丈夫よ。
今からでも、話を聞いてあげなさいよ。」
とお母さんが言うと、佐藤先生はうなづいた。