未知の世界3
吸ってー吐いてー。
何度か繰り返す。
もう進藤先生の診察が怖くなくなった。
聴診器を離す進藤先生が、チラッと私の顔を見た。
「苦しい?」
あ、、、、、そういえば、寝起きに咳が出てたんだ。今は大丈夫だけど。
「今は大丈夫です。」
「今は?」
「さっき寝起きに咳が出てきて。」
「かなぁ、そういうことは先に言えよ。何かあってからじゃ遅いんだぞ。せっかく退院できたのに。」
「・・・・・・」
「そうだよ、体調がまだ万全じゃないから、いつ熱や発作が出てもおかしくないんだからね。」
「・・・・・・」
二人で、私をそんな責めなくたっていいじゃん。
「熱はなさそうだね。」
と、私の額に手を当てた進藤先生がいう。
「まだ起きてる?」
「いえ、もう寝ます。」
「それがいいね。何かあったら起こしてくれていいからね。僕は明日お休みだから。」
じゃあ、進藤先生は家にいるんだ。
「私は明日から大学な「かな、明日は休めよ。」
はぁ、せっかく明日から行けると思ったのに。っていうか明日休んだから週休が続くから、三連かぁ。
「もう大丈夫だもん。」
ボソッと言いながらソファを離れる。
すると手をがしっと引っ張られ、驚いてそちらを見ると、進藤先生だった。
「そんなことないよ。かなちゃん、こっち向いて。」
と言われ、進藤先生の方を見る。
「薬飲むのが遅れただけで、咳が出て苦しくなるなんて、まだ回復してない証拠だよ。
大学へ行けば、決まった時間に薬は飲めなくなるよね。さっきみたいに、自分で忘れてるときだってあるんだよ。この三日間、無理して外に出れば、熱が出ちゃうかもしれない。せっかく退院できたんだから、安静にしてよ。」
と諭されるように言われ、私は思わず
「はい、、、、、」
と返事をした。
そしてトボトボと部屋へ向かった。