未知の世界3
産婦人科は女性の医師が多くいた。それ以上に、助産師さんの数がほとんどだった。
私はまだ医師にもなってない学生。
助産師さんの手際の良さには驚かされた。
子供ができて、ものすごく嬉しそうな人もいれば、子供ができずに、不妊治療を受けにくる夫婦。そして、妊娠していないことがわかったときの辛そうな顔。
さらには、まだまだ私よりも若そうな顔をした女の子が、中絶のためにやってくる。
医師として、患者の医師を尊重し、中絶が決まれば処置をするのだけど、それはすごく辛い仕事だと思った。
大学病院で産まれるだけあって、産まれたら必ず幸せな体であるとは限らない。
生まれつきの障害や病気。
これからどんな辛い治療や困難が待ち受けているのだろうと考えるだけでも辛い。
私は産婦人科での研修を通して、ただ先の真っ暗な人生が待ち構えている赤ん坊を見ることが辛くてしかたなかった。