未知の世界3
翌朝、回診での結果、昼過ぎの退院となった。
昨夜よく寝たから、もう眠くない。
私は先生が持ってきてくれた勉強道具で、さっそく勉強を始めた。
教科書やレジュメを見ると、心に余裕を持てたからか、難しい気がしない。
今までわからない問題も、少し勉強を離れたら、よく分かるようになった。
私が勉強してると、扉が開いたので、幸治さんかと思ったら、そこには、早川先生がいた。
「かなちゃん、おはよう。」
と言うので、挨拶をすると、
「佐藤先生ね、受け持ちの患者さんが急変して、今そっちを対応してるんだ。
僕で良かったら勉強に付き合うよ。
それから、良かったらこれ使って。僕が医大時代のもの。」
と渡されたのは、ビッシリ書かれた本だった。
中を見ると、とてもわかりやすくまとめてある。
「このノートね、見るんじゃなくて、一度自分で書き写してみてごらん。
何度も書き写すうちに、頭に入るから。
僕も先輩に言われて、このノートを書き写していたんだ。このノートは一年生用。
まだまだ卒業まであるから、進級できたらまた次のを貸してあげるね。」
なんていういい人なんだ。
今まで早川先生は優しいところが苦手だったので、距離を置いていた。
でも、このノートが私にとってら、命の恩人に思えるほど、助かった。
「先生、ありがとうございます!一度やってみます。」
とお礼を言った。
それから早川先生は、私の勉強に付き合ってくれた。
実践的な話を踏まえて教えてくれたので、とてもわかりやすかった。