未知の世界3
退院する時間となり、幸治さんが迎えにきた。
「悪かったな。早川先生にしっかり教えてもらったな?」
「はい。すごくわかりやすかったです。」
本当に、勉強の仕方が違うだけで、こんなにも分かるとは思ってもみなかった。
また教えてもらいたいと思ったけど、心のどこかで幸治さんが来れなかったことを残念に思っていた。
何でそんな気持ちになるのか、ハッキリわからない。
ただ、翔くんに変なことを言われたせいで、変に幸治さんを意識してしまっていた。
私の前を歩く幸治さんの後ろ姿。
手足が長くてスラッとしたスタイルに刈り上げられた黒髪。
そばにいると安心する。
今きっと何か大きな事件が起きても、この人がそばにいてくれれば、絶対に不安にならないと確信していた。
そんなことを考えていると、さらに特別な気持ちで幸治さんを見てしまう。