未知の世界3

順番に回診を終え、次はいっちゃんとさっちゃんのいる402号室へ。





「おねーちゃん、おはよう。」





いっちゃんが私に声をかけてくる。





研修のメンバーは私だけが女だから、子供にとっては声をかけやすいみたい。




「おはよう、いっちゃん。よく眠れた?」






「、、、、あんまり、、、」





といっちゃんが答えると、早川先生が





「どうしたの?発作、起きた?」






と聞くけど、いっちゃんは答えない。





もしかしたら、、、、





「いっちゃん、夜は怖くて眠れないんじゃない?」






と言い、私を見上げる。





今にも泣きそう。





私がそっと頭を撫でると、




「、、、えっく、、、、ふぇっ、、、、





ま、、、たっ、、、ほっ、、、さが、、、起きたら、、、




って思うと、、、、、」






と半べそかきながら話しはじめた。






「そうだよね。」






と私が声をかける。






すると早川先生が、






「そうだったんだね。辛かったね。」





いっちゃんは少し落ち着いてから、





「ごめんなさい。」






と言う。






「大丈夫だよ。
今日は昼間になるべく寝ないように頑張ろうか。




鈴木さん、午前中は病院の中庭や病院内を車椅子で散歩させてあげて。




決して歩かせないよにね。それから、お昼ご飯を食べてから2時間寝かせて、起こしたら、夜までなんとかして寝かせないようにできるかな?」




と早川先生が言うと、いっちゃんがすごく嬉しそうな顔をした。






私は、





「やってみます!」





と意気込んだ。









さっそく回診後、いっちゃんを車椅子に乗せて、院内を歩いた。






まずは中庭。暑くなる前に、中庭を散歩。





いっちゃんは、久しぶりの散歩のようで、相当喜んでいた。




この気持ち、分かるなぁ。





そしてお昼が来たので、私はいっちゃんが食事を始めたのを見て、幸治さんの待つ食堂に。




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