未知の世界3
食堂に行くと、ちょうど幸治さんも現れた。
幸治さんと一緒にいるのは、早川先生。
「いっちゃんの様子はどうだった?」
と早川先生に聞かれる。
私は、いっちゃんが散歩中、咳込むことなく、終始楽しそうにしていたことを話した。
午後からもいっちゃんのことを頼むと、幸治さんに言われた。
昼食は手軽に食べられるうどんにした。
「そんなにすこしでいいの?」
と早川先生に聞かれる。
「はい、、、あまり食欲がないんです。」
「どこか体調が悪い?」
「いえ、たまにこういうことがあるんです。」
と私が答えると、すぐさま幸治さんが、
「たまにというか、よくあるぞ。
体が疲れてる時にな。そして、食べない日が続くと熱を出して、ひどくなる時は発作が出る。」
もう、そこまで早川先生に言わなくてもいいのに。
と私が頬を膨らませてると、
「はは、佐藤先生はかなちゃんのことなら何でも知ってますね!」
と早川先生が笑っている。
知られすぎて、恐ろしいよぉ。
そういうことより、心の中を知って欲しい。
「膨れても、飯はなくならないぞ。早く食えよ。」
と言い、幸治さんが私を見ている。
そんなに見られてたら、食べにくい。
と思いながらも、食べなきゃと思い、うどんを箸に一本垂らして、口に入れた。
口に入れて噛むものの、飲み込むほどの食欲がない。
いつまでも口に入れたうどん一本を噛んでいると、
「飲み込めっ!」
と幸治さんに突っ込まれた。
うえーん。無理ぃ!
食欲が出ないんだもん。
「かな、小児科の患者が今のお前ならどうする?」
「う、、、、、食欲がなくても食べさせます。」
「どうして?」
「体力をつけないと、治るものも治らないから。」
「そうだな、はい!飲み込め!」
う、、、、ごくん。
はぁ、いつもスパルタ。
そんな調子で昼食を食べ終えた。
幸治さんも早川先生も、ご飯を食べ終えているのに、私の前から立ち去らない。
二人を待たせてると思うと、焦って、もはや味わって食事をしてるのではなく、ただ胃の中に入れてるだけって言う感じがする。
私は昼食を終えると、すでに休憩がなくなっていたので、急いでいっちゃんの部屋へ向かった。