未知の世界3
~抜け出したさっちゃんは~
病院のある街の外れに来ていた。
とにかくさっちゃんは病院から離れたかった。
ここがどこだかわからないけど、毎日缶詰で中庭にも出られない。
廊下を歩けば、「安静、安静」と言われて、歩くのもゆっくり。
ひどいときは、車椅子に乗らされて。
病院を抜け出すことが、どんなに自分の体に悪いことだかわかっている。
けど、どうせ治らない病気。早かれ遅かれ死ぬんだから。
そう思って、病院を抜け出してきた。
外は冷えていた。普段病院の中でしか生活したことのないさっちゃんにはこたえた。
「寒いよ、、、、、だけど、久しぶりの外。
幸せ。このまま病院には帰りたくない。」
と独り言。
さっちゃんは、河川敷で仰向けになりながら、綺麗な星空を眺めていた。
「眠たい。」
と言いながら、その場で寝てしまった。