未知の世界3
~さっちゃんがいなくなってから三時間が経過した病院では~
救急車が病院に到着した。
「小学校高学年くらいの女児1名が、河川敷で仰向けので意識のない状態で発見されました。体温が低下しています。」
運ばれてきたのは、そう、三時間前に病院からいなくなったさっちゃん。
すぐに小児科から早川先生が救急へ飛んできた。
「さっちゃん!!!!さっちゃん!!!!」
呼びかけに応じない。
すぐに服を脱がせ、お湯で体を直接温めた。
温め始めてから30分が経ったころ、さっちゃんの意識が回復した。
その後、心臓に異常がないか、検査を始めた。
様態が落ち着いてきたころ、さっちゃんがしっかり目覚めた。
早川先生はさっちゃんのベッドへ向かった。
「さっちゃん、どうしちゃったのかな。突然いなくなって。」
早川先生が優しく話しかけるけど、目をつぶってだまったままだった。
「さっちゃん、君の体はね、今とても悲鳴をあげているんだ。
長い病院生活で、辛いことばかりだけど、今はそれが一番体のためなんだ。わかるかな?」
早川先生が諭す。
すると、
「そんなのどうでもいいもん!どうせ治らない病気なら、どうなってもいいもん!
こんなところにいつまでも、いたくない!!」
そう言うと、さっちゃんは泣き始めた。
「そうだよね、ここにいるのはさっちゃんには辛いね。
先生、わかってあげられなくてごめんね。」
と言いながら、早川先生がそっとさっちゃんの頭を撫でると、さっちゃんは、少しずつ落ち着き再び眠りに着いた。