未知の世界3
「さっちゃん、おはよう。少しは眠れたかな。」
私は優しく、刺激しないようにさっちゃんに話しかけた。
しかしさっちゃんは頷くものの言葉を発しない。
私はさっちゃんの手の甲を優しく触った。
それから10分程、沈黙が続いたころ、
「私もね、病院での生活にうんざりしてたよ。」
と言うと、さっちゃんが私を見た。
「私はね、喘息なの。
でもね、高校生になる頃まで、普通に生活をしてたの。高校の健康診断で引っかかっちゃってね。
通知が来て、病院に行ったら、即入院って。
今まで普通に生活してきたもんだから、入院生活が苦痛でならなかったよ。
だって、自分は大丈夫だって思ってるのに、お医者さんも看護師さんも、みんな私をベッドで安静にさせようとするんだもん。」
と一気に話した。
するとさっちゃんは興味を持ったのか、
「へぇ~そうなんだ。どこの病院?」
「それがね、、、、ここの病院、ここの小児科っ!」
というとさっちゃんは驚いた様子で、
「えぇ!じゃあ、私の先輩だ!」
「はは、そうだね。さっちゃんより先に私がここにいたからね。」
「誰が先生だったの?」
「怖い怖い人!」
「う~ん。。。。。。
誰だろう、みんな優しいよ。」
さっちゃんが考え始めたけど、すぐに根を上げた。
「佐藤先生!
私がね、入院中に熱が出たり、お腹を痛めたりしてたんだけど、そんなことがあった翌日、体調がよくなったと思って顔を洗いに行ったら、見つかっちゃって。
そんなことで怒るなんて、考えられないでしょ?」
と言うと、さっちゃんは何度も頷きながら、
「うんうん!佐藤先生ってそんなに怖いの?」
「そうだよ。高校生の受験前なんかは、勉強を教えてくれたけど、スパルタでね。
私がつけたあだ名は、、、、、、『鬼の佐藤』!」
と言うと、さっちゃんは、ニカっと笑って、
「ははははは!鬼の佐藤!そんなあだ名つけたの!?」
と大声で笑い始めた。
私は誰かに聞かれては困ると思って、
「さっちゃん、シーーーー!!!!」
と言った。