未知の世界3
部屋に戻り、ベッドに横になっていると、扉が開き進藤先生が入ってきた。
「かなちゃん、どうして部屋から抜け出したりしたの?」
「え?抜け出す?」
私は進藤先生の抜け出すという言葉がよくわからなかった。
「言ったでしょう?
部屋から出ないでねって。」
え?そんなこと言った?
という顔をしていたのか、
「聞いてなかったのね。」
きっと私が病名を聞いて、あれやこれやと考えている間に、進藤先生が話していたんだろう。
「ご、ごめんなさい。」
「いつ発作が起きるか分からないから、部屋から出ないこと!
体を冷やすことも良くないし、歩いて心臓に負担をかけることもやめてね。
それから、食事は糖分、塩分の控えめなものばかりだけど、今朝みたいに残さないで、ちゃんと食べて手術のために体力付けておいてね。」
手術のために・・・
「先生。私、手術はやっぱり、、、
投薬治療はできませんが?」
「投薬治療ね・・・
今朝言った心臓外科のスペシャリストに、相談してみるよ。
僕は一刻も早く手術するべきだと思ってる。
でも、すぐにアメリカから手術できる医師が来れるとは限らないから、いつ戻ってきてもいいように、今は安静にしてて欲しいんだよ。
どうして、手術が嫌なの?」
「それは、、、」
「どんな理由であろうと、今のかなちゃんの心臓には手術が一番なんたよ。
ところで、さっきへ出歩いて何してたの?」
「先生に病名を聞いて、頭がいっぱいいっぱいになっちゃったから、部屋を出て考えをまとめたくて。
屋上行って、売店行って、自販機行って」
「え!?屋上!?売店、自販機!?
何てことしてるの!
お願いだから、これ以上危険な真似はしないで。
もしかして、何か飲んだ?」
「・・・コーヒー・・・」
「絶対にダメ!売店で買えたの?」
「いえ、売店では売ってもらえず、自販機で。」
「あぁ、そうだね。
かなちゃん、腕に付けてるバンド、それは心臓病を患った人の色なの。
それを見た売店の人が、売ってくれなかったんだね。」
「あ、それで!
屋上では知らないお医者さんに、病室に戻るように言われました。」
「はぁ~、もうこれからは外に行かないでね。」
と言われても、病室はつまらないし。
返事をしないでいた。
「っていうか、かなちゃん、顔が赤い・・・
熱測るよ!」