未知の世界3
いつもは冷静な進藤先生が、すごく焦っている気がした。



やっぱり私の心臓、ダメなのかな。 





こんなとき、知識がなければないで、あまり不安になることがないと思ったけど、進藤先生を見てれば、重症なことはよく分かった。





「かなちゃん、熱があるね。」






確かにボーっとしてきた。






「今、ものすごく体が疲れてるんだよ。
部屋を出たことで、体が悲鳴を上げてるんだね。






アメリカではどうだった?」






うーん、確かに熱、出たね。






「一度、夜遅くに公園にいたら熱が出ました。
すぐに病院で点滴してもらったら、朝には引いていました。




それと、一ヶ月くらい前から、横になっていると、心臓がキュッとなることがあったり、苦しくなることがありました。




喘息の発作ではないから、気にせずにしてました・・・」






「え?どうしてすぐに佐藤先生に話さなかったの!」






「なかなか会う機会かなくて。




お互い帰る時間も、家を出る時間も違ったので・・・」






「そうかぁ、お父さんには?」






「お父さんともなかなか会わなくて、最後にアメリカを飛び立つ前に診察してもらったけど、そんなことを言えば、一人で帰らせてもらえないと思って」







「どうしてそこで気を遣うかなぁ、、、」






「ごめんなさい。」 






「とにかく、これから何かあれば、すくに言ってね。」





と進藤先生に念を押され、はいと返事をした。






午後からは普段出ない高熱にうなされ、手術のことは考える余裕もなかった。
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