未知の世界3

「幸治、、、さ、、ん」





と呟くと、たけるとまいが一緒に私を見たけど、私は幸治さんの登場に目が離せなかった。





幸治さんは私に気付いてるのかな、、、





こちらは一度も見ない。





それよりも、講義に集中しないと。





特別講義だから、ものすごく楽しみにしていた。





講義が始まった。





幸治さんは、今までに見たことのない顔で、医療について語った。






現在の小児医療。





教科書では、レジュメではわからない、小児の現場。





何百回とオペの練習も必要だけど、場数を踏むことの大切さ。




だけど、相手は大切な命。





一つ一つの命に、自分の命を懸ける想いで向かっているという。





そう話す幸治さんの顔は、本当に生き生きとしていた。





幸治さんのマイクを通した声。






とても聞いてて惚れ惚れしていた。






すると話は、小児での一番の苦悩という話題に。





それは、治療を嫌がり、逃げる子供達。






ん?もしかして、、、






過去に病院を抜け出した子供の話。






幸治さんは、患者の気持ちを考え、もっと早く対策をすべきだったと熱弁した。






大人が考えている以上に、子供の心は傷つきやすく、繊細であるということ。





また家庭環境で大きく変化するということ。






私は、間違いなく、この患者は私であると思った。






こんなに幸治さんが私のことを考えてくれていると思うと、たまらなく嬉しい気持ちになった。






そんなふわふわした気持ちでいると、講義は終わってしまった。





最後に、質問のある人は、このあと聞きに来て下さい。





と言われた。






すると講義を受けていた女性陣が一気に幸治さんに駆け寄った。  
 


  

え?すごい人気。





私は特に質問はなかったけど、誰よりも幸治さんのそばに行きたかった。





すると隣にいたたけるとまいが、 





「知り合い?」





と、不思議そうな顔をした。






「違うの。あの人が、佐藤幸治さん。」






「えっ?」





二人そろって驚いた顔。





「かなのお兄さん!?」






とたけるが聞く?






「まぁ、血はつながってないけど、、、





戸籍上でも、きょうだいではないけど。」






と私が答えると、二人は





「すごいすごい!あんなイケメンと暮らしてるのー!?」





とまいが声を弾ませた。






あんなにイケメンだよ。そのイケメンのこと、好きになっちゃったんだよ。





と、口に出しては言えないのが残念。






私は女性陣が群がる方向を見て、私も中に入りたいと思った。





でも、幸治さん、驚くよね。嫌がるよね。






知り合いがいるなんて、気まずいよね。






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