未知の世界3
ザーザーザー
既に大雨になっている。
この雨にずぶ濡れになるくらいなら、走って帰った方が良さそうだと思い、私は急いだ。
ハァハァハァ
久しぶりに走ったから、息がすぐに切れた。
それに、結局雨にずぶ濡れになってしまった。
マンションのエントランスに駆け込むと、傘を折りたたんでいるスーツ姿の人がいた。
スーツ姿の人が、こちらを振り向く、その瞬間っ!
やばい!幸治さん!
私は、どこかに隠れようと思ったが、遅かった。
息が切れているのをしっかりと聞かれてしまった。
「かなっ!」
その声はエントランス中に響いた。
このマンションの1階には居住スペースがないから良かったけど。
大学生になって、公衆の面前で怒られるなんて、恥ずかしいよ。
「走ったのか?」
とド迫力のある顔で聞いてくる。
「おい、走ったのか?」
とまた私に迫る。
私は、声が出ないほど息を切らしていた。
うなづくのがやっとで、うなづいた瞬間、
「吸入器は!?」
と言われ、慌てて吸入器を探す。
けど、普段使っていないから、どこにあるのかわからない。
鞄の中をさばくるのを見た幸治さんは、ため息をついて、
「行くぞ!」
と言い、ちょうど降りてきたエレベーターに私を連れて歩いた。