未知の世界3
「鈴木さんっ、またお話しませんか?
呑めないから、退屈でしょう。」
と先ほど私と話していたい新入生二人が、私に話しかけてきた。
「いいですよ。」
と返事をすると、私に持ってきたというジョッキに並々注がれたノンアルコールのカクテルジュース。
これなら私でも呑めると思い、口にしようとすると、話しかけてきた二人のうち一人が、
「せっかくですから、三人で乾杯して、一気に呑みましょう。」
と言うので、
「かんぱ~い!」
という合図で、一気にノンアルコールのカクテルジュースを飲み干した。
なかなかおいしい味をしていた。
もう一杯とすすめてくるので、せっかくだからと二杯目を呑んだ。
その二杯目のジョッキを呑むと、またすすめてくる。
三杯目を呑みはじめ、半分を呑み終えるたところで、幹事がそろそろお開きにするといい始めた。
私は、おいしく呑んでいたので、もっと呑みたいと思ったが、幹事の合図で呑むのをやめた。
飲み会の会場の居酒屋を出たところで、電車で帰るたけるとまいと別れ、私はタクシーを拾おうと歩道に出た。
少し疲れたのか、めまいがする。
街のネオンがいつもよりぼやけて見えるのは、もう遅い時間だからだろう。
それにしても、飲み会の始まる前よりも、ぐっと体がだるくて重い。
会場が酒臭かったからか、少し気持ち悪い。
思い出すと、タバコを吸っていた人もいた。
大学では、タバコ吸う姿を見たことがない人も、今回の飲み会の会場で吸っていた人がいた。
タバコを吸ったことがあるんだけど、普段タバコを吸うことを控えている人は、お酒を呑むと吸いたくなる人もいるって聞いたことがあるけど、きっとそれで会場は煙が漂っていたに違いない。
そんなことを考えながら、重い体のままタクシーを探す。
歩道から手を挙げる。
車のライトが眩しい。
何とか体を起こしているのが、やっとだった。
すると、
「ゲホッ」
と全身がビクッと動き、前のめりになるようにして咳が出た次の瞬間っ、私は歩道から一歩足を路上に踏み出してしまった。
ドンッ!
という鈍い音と同時に、全身に激痛が走り、気づくと歩道で仰向けになっていた。