未知の世界3
玄関の鍵を開けるとすぐに、幸治さんに手を引かれて部屋に入った。
リビングのソファに座らされ、急いで幸治さんが部屋から持ってきた吸引器を口に当てられる。
「たくっ!医学部に入ったんだから、自分の体のことくらいもっと分かるだろ!」
そんなこと言われても、まだ体の名称を覚えるのに必死なのに。
きっと、幸治さんは頭がいいから、大学で私みたいに落ちぶれてなんかなかったんだよ。
だからそんなこと言えるんだ。
無償に自分が悲しくなってきた。
「ちゃんと聞いてるのか?」
声を出したら涙まで出てきそう。
そしたら、勉強がいっぱいいっぱいなことがばれちゃう。
あと6年もあるのに、まだ入って一ヶ月した経ってないのに。
と思うと、これ以上幸治さんの前には、いられなかった。
私は吸引器をソファに投げつけて、部屋に向かった。
リビングから
「ちょっと待て!終わってないぞ!」
と幸治さんが怒鳴る声がする。
部屋について扉を閉めると涙が溢れ出た。
幸治さんが廊下を歩いて部屋にむかってくるのがわかる。
涙を止めないとと思えば思うほど、涙が止まらない。
「開けなさい!」
幸治さんがカンカンに怒ってるのがわかる。
余計に開けれないよ。
私は、
「い、、、や。」
としか言葉が出ない。
でもその言葉のあと、先生はドアを開けることなく、私の部屋から遠ざかっていった。
私は部屋で着替えて、そのまま眠りについた。