未知の世界3

翌日、午前中には呼吸器内科に移った。








私はその間、ずっと考えていた。







また喘息が出ちゃったよ。しばらくなかったのに。






これからまた、喘息と戦わなければならないなんて、嫌だよ。





発作がいつ起きるのかって、ビクビクしながら眠るんだもん。





嫌だな。





なんて考えていると、カーテンが開いた。






そこには、心配そうで疲れきった顔の幸治さん。






「かなっ、聞いたぞ。夜、発作が出たんだって?」





と言われ、黙って頷く。







もう、あまり喘息のことは考えたくない。





「大丈夫か?顔色悪いな。先生呼ぶか?」






先生、、?





そうだよね。





私はもう幸治さんの患者じゃないんだもんね。





これからは進藤先生だもんね。





と思うと、段々悲しくなってきた。





気づくと涙が出ていた。





その顔を見て幸治さんは、





「どうした?」





と言う。私は、





「も、、、、、う。






幸治さんの患者じゃないと思うと、なんだか寂しくて。」





素直に言えた。自分で、驚いて顔を上げると、幸治さんも目を見開いていた。





「素直になれたな。




大丈夫だ。俺は家では徹底的にかなの主治医だからな。家で何かあれば、かなの主治医の進藤先生に逐一報告するからな。」





と言われた。





私はそんな考えもしなかった。





逐一報告なんて、、、





いつの間にか、涙が止まっていた。





昨日は幸治さんは、急患で小児の子が三人も入院したらしく、慌ただしくて私の部屋には来れなかったようだ。




それから、進藤先生は、私のやごな大学の教授から、前月の4月からやごな病院に異動してきたそうだ。




以前、幸治さんが知り合いであり、やごな大学の講義に呼ばれることのなったきっかけの教授が、進藤先生であることを教えてくれた。





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