未知の世界3
お昼ご飯を食べなかったけど、それから食欲がわかなかった。
喉も渇かなくて、幸治さんが買ってきてくれたペットボトルのお茶を開ける気力もわかなかった。
お昼を過ぎて3時頃、いつのまにか寝ていたようで、目を開けると、進藤先生と幸治さんがいた。
「起こしちゃったみたいだね、ごめんね。」
と謝るのは進藤先生。
「君とかなちゃんが家族とはねぇ。知らなかった。」
と言う進藤先生に、
「そうなんですよ。」
と答てる幸治さん。
そんな会話をしながら私を見る二人の目線に、どうしていいのかわからなくて、布団を首まで被った。
「かなちゃん、お昼ご飯はどうしたの?全然減ってなかったよ。」
うわっ、ばれてる。そうだよね。患者のご飯の減りも症状を知る手段だって、大学の講義でも聞いたことがあるしね。
「食欲がなくて、、、」
と私が言うと、
「お茶も飲んでいないようだね。点滴する?」
と進藤先生に言われて、私は慌ててペットボトルの蓋を開けてお茶を飲んだ。
そんな様子を見ていた進藤先生は大笑い。
「アハハハハ!そんなに点滴嫌かな?」
とあまりにも笑われるもんだから、下を向いてしまった。
でも、幸治さんに以前、辛いときは前を向くようにって言われたことを思い出して、顔を上げた。
すると幸治さんと目があい、幸治さんが微かに笑ってくれた。
あれ?怒ってない?
「こ、、、幸治さん。
午前中のこと、、、ごめんなさい。」
と言うと、顔を傾けて幸治さんは、
「どうして謝るんだ?かなのせいじゃないだろ?」
と幸治さんが言う。
「さっき、進藤先生を通じて、大学にかなにアルコールを飲ませた新入生について確認してみた。
そいつら、まさかかなが事故に遭うとは思ってもなくて、今朝、自分達からサークルの部長に名乗りでたそうだ。
明日にでもここにきて謝りたいって言ってるそうだけど、どうする?」
えっ?それで部屋を勢いよく出て行ったの?私のたまに?
「わざわざ、、、謝りに来なくてもいいです。
明日じゃなくても、いいです。
いつか退院できたらで。」
というと、それ以上幸治さんは何も聞かず、分かった、とだけ言った。
「かなちゃん、いつか退院できたらって、そんなに長くはいないよ。
長くならないように、治療を頑張っていこうね。」
と言われるけど、また検査に治療にと、毎日始まるのかと思うと、げんなりした。