未知の世界3

採血を気付かれないうちに終わらせる進藤先生、驚いた。





点滴や注射を患者さんに気付かず終わらせる人はいるけど。





採血ってなかなかの神業。





進藤先生ってすごいんだなぁ。っていうか、幸治さんはどうしてここにいるの?





「幸治さんは、どうしてここに?」






と聞くと、






「あぁ、小児科の子がさっきまでここにいたんだ。検査が終わって、こっちにきてみたら、なかなか採血させてくれない困った患者がいたからな。」







そんなこと言わなくてもいいのに。







「佐藤先生、いつもかなちゃんの採血はどうしてたの?」






と進藤先生が聞くと、





「僕は看護師に任せることが多かったので。でも、僕がやるときは、必ず一喝してからやることが多かったです。なぁ、困った患者さんっ。」





と言うと、私を見た。







そんなカッコイイ顔で言われても。





私は、顔を赤らめた。





「かなちゃんは、佐藤先生が大好きなんだね。」






とさらっとすごいことを言った。





仮にも病院ではきょうだいと思われている。






それなのに、進藤先生は、、、。






わかりやすい私がいけないんだけど。






「もう、終わりてますか?」






私は採血しかやっていないことは知っていたけど、これ以上ここにいると恥ずかしくてたまらないから、早く終わるように進藤先生を促した。






「まだに決まってるでしょー。かなちゃんっ」





と半ば怒り気味の幸治さん、、、。






私は恥ずかしさよりも自分が口を滑らせたことで、幸治さんを怒らせてしまいそうで、ビクビクした。  





「、、、すいません。」






と謝ると、じゃあさっそくピークフローを計ろうかと、進藤先生が検査器具を用意した。




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