未知の世界3
目が覚めると、机にはお昼ご飯が運ばれてきていた。
起きてもまだ疲れが取れない。
どうして入院すると、こんなに体力が落ちるんだろう。
ご飯を食べる力も残ってない。
時計を見ると、1時を過ぎていた。
トントンっ
という音のすぐ後に、
「入るねー」
と声がして進藤先生が入ってきた。
私の机を見るなり、
「また今日も残してー。」
といいながらも、午前中よりも優しくはなっている。
それでも何か喋れば怒られると思い、私は黙っていた。
「かなちゃん、食べないと力が出ないよ。」
と言われる。
「食欲というか、気力というか、、、今起きたばかりで食べれないんです。」
ここは、素直に話さないと。
「そんなに午前中、疲れた?」
「は、、、い。」
と目を合わさず答える。
「体力が落ちてるんだね。でも、昨日のお昼も食べてないから、今日は食べよっ。」
と進藤先生に言われる。
そうだよね。先生の言う通り。
食べなきゃ治らないし。
「食べてみます。」
そう私が言うと、
「うん。食べてみて。
1時間後にまた来るからね。」
といい、部屋を後にした。
私は進藤先生の言う通り、ご飯を口に入れてみる。
うん、食欲ない。
口を動かす気にならない。
でも、汁物とご飯半分は食べようと思い、とにかく口に入れてみた。
やっぱり飲み込みにくい。
おかずは全く手が進まない。
口に入れてはみるものの、噛めなくて出してしまう。
ご飯なら、何とか飲めるので、ほぼ噛まない状態で飲み込んだ。
汁物やお茶でご飯を流し込み。
おかず以外は食べることができた。
でも噛まないで飲み込んだご飯が、胃にどかっと入っていて、何だかお腹が痛くなってきた。
その痛みを感じないようにと、他のところに力を入れるから、また体が痛い。
気持ち悪い。
無理するんじゃなかった。
だけど、これで進藤先生の言う通り、体力が付けば、きっと吸入だって苦しくなくなると思う。
私は横になって、気持ち悪さがなくなるように、目をつむった。