未知の世界3

どのくらい寝たのか、目を開けた途端、胃から何か込み上げてきた。






「ぉえっ!」






私は横を向いたまま、布団の上に戻してしまった。






「うっ」





と、また込み上げてくる。





まさに食べたご飯がそのまま出てきた。





「ガボッ」  





と、今度は汁物。





全く吸収されずに液体が勢いよく流れる。











もうないはずなのに、胃が絞り取られるように何か出てくる。






酸っぱい。きっと胃酸だ。  







「はぁはぁはぁ」







苦しい。それに疲れた。体も痛い。






ナースコールを押して、看護師さんを呼んだ。





すぐに看護師さんが飛んできて、掃除の人と片付けてくれた。





私はごめんなさいを何度も言う。






看護師さんも掃除の人も、気にしなくていい、と笑顔で言ってくれる。 
   




それがまた申し訳なくて涙が出てきた。






自分のせいで、たくさんの人に迷惑をかけてしまった。






看護師さんは、しきりにどうしたのか尋ねてきたど、私は言わない。





いろんなことが込み上げてきた。






大学休んで入院してること。      

  



発作が出たこと。






事故で体中が痛むこと。





吸入で怒られたこと。





そして吐いたこと。






全てが私を追い込んだ。

       



「ひっ、ひっ、ひっ」






泣いていると呼吸がうまくできなくなった。





看護師さんがそばで落ち着くように指示してくれる。





「フーフー」





と自分で息を整えて落ち着くことができた。





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