未知の世界3

掃除が終わる頃、部屋に進藤先生がやってきた。





「かなちゃん、どうした?ご飯戻しちゃった?」






優しく聞いてくれてるんだけど、午前中のことがあって、話せない。






看護師さんから、発作が出そうになったことも伝えられた。





「少し診察するよ。」






と言われるけど、私は動かない。






進藤先生はお構いなしに、私の服のボタンを看護師さんに開けさせ、聴診する。






絶対に悪くなってる。





自分でもわかる。





進藤先生は黙って聴診を終えて、次はお腹を押し始めた。






胃に進藤先生の手が押し込まれる瞬間、





痛っ!





激痛が走った。






けど、表情を変えないように必死に保った。





もうこれ以上、悪いところがあっては困る。





早く喘息を治さないと、退院できない。






「かなちゃん、痛いところがあったら言ってね。」






また私のことを見透かしているかのように、進藤先生は言う。





再び胃を押される。





けど、私は堪えた。





一瞬手を握ってしまったけど。






でも、これを進藤先生は見逃さない。






「痛いんだね?」
  




私は、痛いのを我慢して、





「大丈夫です。体中の打撲が痛みます。」





と嘘をついてしまった。





進藤先生は表情を変えず、





「そう。」
  



とだけ言った。






「もし痛くなるようならすぐに言ってね。本当はこれから吸入したいけど、少し休みなさい。」





と言われた。




少しきつく言われた感じがした。






そんなことよりも、もう体がへとへとになっていた。






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