未知の世界3
次に目を覚ましたのは、胃の痛みだった。
知らない間に体をくの字に曲げている。
いたっーーーー!
今までに感じたことのない激痛が走る。
うーーーーーん。
ナースコールしたい。けど、こんなこと言えないよ。
「はぁはぁはぁ」
でも痛い。
思い切ってナースコールを押す。
「どうしましたか?」
という看護師さんの声。
お腹が痛いって伝えたいけど、声が出ない。
「すぐ行きますね!」
という声の本当にすぐ、扉が開いた。
「かなちゃん、お腹痛い?」
と聞かれる。
頭を上下に振って頷くことで精一杯だった。
「先生呼ぶからね。」
といい、ナースコールを押して進藤先生を呼ぶように指示する。
「どの辺かな?」
と看護師さんに言われるけど、痛くて体を伸ばせない。
すると、すぐに扉が開く。
「かなちゃん、お腹痛い?
一度足を伸ばそう。」
と進藤先生がそばに来るけど、痛くて動かせない。
「鎮静剤を」
と看護師さんに指示をすると、看護師さんがナースステーションへ向かう。
「いつから?さっきも痛かった?」
と聞かれるけど、痛みが増して、頷くこともできない。
看護師さんが持ってきた鎮静剤を打たれる。
お腹の痛みでどこにさされているかわからない。
すると、胃からまた何かが込み上げてきた。
「ゲホッ!」
それは血だった。
口の周りのシーツが真っ赤に染まり、中には、ドロッとした血もある。
すぐに看護師さんが吐いてもいいように、受け皿を口に添えてくれた。
「ゲボゲボゲボっ!」
まだまだ止まらない。
痛いに怖いし。
私、どうなっちゃうんだろう?
進藤先生は聴診と脈を急いで計っている。
そしてどこかに連絡しているようだ。
吐き終わった頃、口を拭かれ、看護師さんが背中を撫でてくれた。
少しそれで痛みが引いてきた。