未知の世界3
扉が開いて、入ってきたのは進藤先生と幸治さん。
涙を流してるところを見られたくなかった。
今は喋りたくない。
何も聞かないで欲しい。
「かなちゃん、目が覚めた?」
と言われても天井を見たまま。
「麻酔が切れたと思うけど、痛みはどう?」
痛いよ。
声を出せないくらい痛いよ。
すると幸治さんが、私のマスクを少し外す。
幸治さん、痛いんだよ。喋りたくないよ。
「かな、、、なんでこうなったんだ?
進藤先生にちゃんと話しなさい。」
強い口調。そんな、私は手術したばかり。目が覚めたばかり。なんでそうやって、、、いつも私ばかり責めるの?
「佐藤先生、今は無理させなくていいですよ。
良くなったら話してくれるよね?」
なんで優しくなるの?怒ってたんじゃないの?
私が素直じゃないから。
いろいろ考えてると、涙が止まらない。
「で、、、て、、、って、、、」
「え?かな、なんて?」
「ひと、、、、り、、、、が、、、いい、、、、の、、、」
痛いよ。この言葉を言うのに、どれだけ辛いか。
術後なんだから、そっとしておいてよ。
「かなっ!」
突然幸治さんが怒り出した。
無理もないよね。
こんなわがままなこと言ってるんだもん。
進藤先生に失礼だよね。
「うん、分かった。佐藤先生、行きましょう。」
と進藤先生が言う。痛くなったらすぐ言うんだよと、添えて部屋を出て行った。