未知の世界3
看護師さんが部屋に来ると、遅いからといい、幸治さんは家に帰っていった。
私早く帰りたい。
そして、看護師さんが持ってきてくれたのは氷枕。
冷たくて気持ちよかった。
お腹はまだ痛む。
看護師さんが来た後に、進藤先生が来た。
「かなちゃん、熱あるんだって?
ちょっと診察するね。」
といい、聴診を始めた。
体が熱で怠くて目を開けるのがやっとだった。
さっき、幸治さんから言われた言葉が嬉しくって、頭の中は、幸治さんのことばかり考えていた。
進藤先生が何かいいながら、診察を続けてる。
気にもならない。
すると、
びりっ!
「いたっ!」
傷口が痛む。
「やっと喋ってくれた。かなちゃん、僕の話、全然聞いてないんだもん。傷口が化膿してないか見るよって声をかけたのに。
さては、好きな人のことでも考えてたんだなぁ。」
といい、ニタニタしながら私の顔見る。
「ち、違います。」
と言うけど、ごまかせない。
「まぁ、いいや。
傷口は化膿してないけど、消毒するからね。
それから痛みは?」
「痛いですけど、我慢できる痛みです。」
と私が答えると、進藤先生は、
「痛いのね。我慢したらダメだよ。痛むのも経過をみる上で知りたいことだから。
鎮静剤出しておくね。夜中に痛くなったら必ずナースコールしなさい。」
と、目を見て言われた。
そんなふうに言われたら、目を反らせられないよ。
「熱はまた夜中に見に来るからね。それまでに辛かったら、ナースコールしなさいね。」
と進藤先生が言う。
先生に言わなきゃ。
「進藤、、先生?
あのさっきはごめんなさい!」
言えたぁ、とホッとして顔がほころんだ。
「気にしなくていいよ。術後だから普段より弱ってる。無理しないで痛くなったら言うんだよ。」
といい、看護師さんと出て行った。