男装騎士~それから~
「ユキさま、これから・・・」
「んぐ?」
レオが忙しいからと一人で取っていた食事。
パンをちぎって食べるのがうっとおしくなった私は、大きな口を開けパンを頬張っていた。
そのタイミングで声をかけられたもんだから、恥ずかしいったらない。
慌ててパンをかみちぎり、急いで咀嚼して飲み込む。
「ご、ごめん。なに」
「ぷっ、もう、ほんと。相変わらずだよね」
ごしごしと唇を拭う私を呆れ顔で見ているのはフランだ。
フランはすっかり私付きの騎士として、いつも私の側にいてくれる。
本当は前みたいに一緒に食べたいのに、やっぱり立場が変わるとそうはいかないみたい。
呼び方も、ユキさま、だし。
だからといって心の距離まではなれたわけじゃないから、気にはしていないんだけどね。
「今日、レオさまは午後にはおかえりになられます。その後は時間が開くはずですよ」
「ほんと?」
「はい」
にっこりと笑ったフランに、私も満面の笑顔で返す。
嬉しい!
久しぶりにレオと一緒にいられる!