男装騎士~それから~
子どもって、あのガキじゃねぇか!
なにやってんだよ!
「イチ!」
向こうで女の声がする。
立ちはだかる大男の向こうに、若い女の姿。
着ている服が乱れ、地面に座り込んでいる。
なんとなく状況を把握した俺は、それを止めようと足を踏み出そうとした。
「っ!負けないんだ!俺は!強い男になるんだから!」
ガキが立ち上がり、男に向かって行く。
バカ野郎!無茶だ!
それでも、なぜか俺は止めることができなかった。
「うるせぇ!邪魔だ!」
何度突き飛ばされても、何度でも立ち上がり向かって行く。
「母さんを護るんだ!」
男を見た。
ガキのくせに、かっこつけて。
お前は、十分護れたよ。