男装騎士~それから~
「当たり前だが、ユキの周りは大きく変わってしまった。だからこそ、変わらぬものもあってほしいと思う。お前が、側近としてではなく、ユキの事を期にかけていることは知っている」
「レオさま・・・」
「そのことは、ユキだって感じているだろう。お前の言葉だからこそ、素直に聞けることもあるのだ。お前だからこそ、甘えていることもきっとある。だからこそ、お前はあいつの甘えられる場所であってほしい」
私がユキにとってそのような場所であるなんて。
そんなおこがましいことはないと。
ただおせっかいに世話を焼き、勝手に気をかけ、小言のようにグチグチと言ってきただけ。
「変らぬお前でいることが、一番のあいつにしてやれることだ」
「変わらぬ私で・・・」
王妃として扱えない自分。
頭ごなしに叱り飛ばしてしまう自分。
時々嫌になり、疲れ果て投げ出したくなる時もある。
「そもそも、私はレオさまの側近なんですがね」
「夫婦ともども、頼んだぞ」
「荷が重いですね」
ですが。
「望むところです」
なにを泣き言のようなことを言っていたのだろう。
情けないですね。