男装騎士~それから~
小さく息を吐きしゃがむと、その紙を一枚一枚拾い上げていく。
「ご、ごめんなさい。慌てて」
「・・・まったく、おてんばすぎるのも大概にしてください」
謝るのだと、決めたはずなのに。
いきなり悪態をついてしまう。
心の中でため息を吐きながら視線を落とした紙は、ユキに処理してもらうための資料だった。
「これは・・・」
「あ、これ。終わったから、グレンのところに持っていこうと思って!」
「終わった・・・?この量を全部?」
「うん。目を通して、纏めたらよかったんだよね?多分、これでいいと思うんだけど、一応確認してね」
笑顔でそういうユキ。
私があんなにも頭ごなしに叱り上げたのに、文句ひとつ言わず、これをすべて一人で終わらせたというのか?
これは、私も一緒に目を通そうと思っていた仕事だ。
でもその前に、少し気分を落ち着かそうと席を外した。
ユキは、その間に、すべて自分でしてしまったというのか。
つくづく。
本当に、この子は。
「あなたって人は・・・」
だからこそ、護りたいと思うのですよ。