男装騎士~それから~
「この度、ユキがマリア姫から直々に城への招待をされた。そのため、お前に護衛としてついていってほしい」
ユキと別れた後、レオさまのもとにやってきた俺はそんな任務を告げられた。
俺が、ユキの護衛に・・・。
つくづく、ここの王さまはお人よしだ。
俺がしたことをまるで忘れているかのように。
魔物討伐の任の時にも、俺にユキを任せると言った王だ。
俺の事を信じてくれていることくらいわかっている。
俺にだって、信用を返すつもりはある。
それでも。
そんな風に信じられることが、苦しいとすら感じる。
いっそのこと、責めて罰してくれていれば・・・。
あんな悪夢にうなされることもなかったんじゃないかと。
「お前の下に、騎士はつける。だが、お前がそれを纏め率いるんだ。お前の力は認めている」
「・・・それは、俺でないといけない任ですか?」
「なに?」
「俺なんかより、もっとふさわしい人間はいると思いますが」
逃げていることくらいわかっている。
これ以上、ユキの側にいることから。
あの悪夢から。
そして、わずかに芽生える気づきたくない想いから。