男装騎士~それから~
「やあ!」
「うああああ!!!」
武道場に足を運ぶと、騎士たちが訓練をしている声と音が聞こえてくる。
そこに、不釣り合いな女の声を聞いた。
ぴたりと足を止め、思わず立ち止まった俺は視線だけをその武道場へと向けた。
女の騎士なんていない。
本当にこれが女の声なのならそれはきっと。
「ユキさまにはかなわねぇよ!」
「遠慮するからよ!本気で来なくちゃ!」
「馬鹿言わないでください!王妃さまなんですよ!?本気なんて・・・」
「馬鹿言ってるのはそっちよ!相手がだれであれ、本気でかからなくちゃ訓練の意味がないでしょう!」
また、騎士たちに紛れて一緒に訓練をしているのか。
ユキは、もともと騎士だったこともあってこうして時々武道場に現れては騎士相手に手合わせをしたり、身体を動かしている。
レオさまも、苦々しい表情でそれを認めているのだから。
「はぁ・・・」
今一番会いたくなかった人の存在を認め、踵を返して立ち去ろうとした時。
「カイ?」
不意に呼び止められた。