男装騎士~それから~
「なに、鍛練?」
「・・・いや」
振り向いた先にいたフラン。
タオルを首にかけ両手でその端と端を掴みながら俺に声をかける。
ぎこちなく答えると、フランは首をかしげた。
「今、ユキ来てるよ。カイ、手合せしたら?カイとユキってしたことないだろ?」
「・・・俺はいい」
ユキと手合せなんて・・・ごめんだ。
そうでなくても、俺はユキに頭が上がらない。
後ろめたい気持ちで溢れている。
「そんな事言わずに。ほら」
フランは、否応なしに俺の腕を掴むと強引に武道場の中に入れた。
「あ、カイ!カイも体動かしに来たの?」
「俺は・・・」
「私と手合せしようよ!みんな、私に気を遣って本気で来てくれないの」
「・・・そんなの、当たり前だろう」
仮にも相手は王妃なんだから。
王妃相手に否応なしに打ち込める奴がいるなら見てみたいものだ。