男装騎士~それから~
俺には、誰かを護る剣なんて握れない。
俺は、誰かを護るなんてできない。
「俺は、誰も護れない・・・」
「護りたくはないのか。お前は、ユキを護りたいんじゃないのか」
「もう・・・、傷つけたくないって思った。でも、俺は結局、誰も護れなかった」
俺は・・・。
護る資格なんて。
「お前のやり方は間違ってはいたが、お前は、ユキを護った」
「でも、ユキは!」
「眠っているだけだ。ケガひとつしていない」
「え・・・」
俺はユキを見る。
確かに見える個所には傷はないけど・・・。
「お前が自分を大切にしないからな。騙してやったのだ。お前の本心も知りたかったからな」
「本心・・・?」
「お前は、ヘラヘラしているくせに、なにも言わないからな。お前が、苦しんでいることはわかっていた。それが、俺が下した判断のせいだってこともな」