男装騎士~それから~
「よくわかんねぇけど。帰る方法があるってわかってよかったじゃないか」
「カイ・・・」
帰り道、隣に並んでいたカイが励ますようにそう言った。
カイは、知らないんだよね・・・。
私が別の世界から来たって。
「帰ってこれない場所って、よくわかんねぇけど。そんな遠いの?」
「うん・・・。すごく」
「・・・そうか」
何度も行き来できるなんて、そんな都合のいいことがあるわけないってわかってる。
それでも、願ってしまうの。
一度きり。
そんな重圧が苦しくて。
その決意で私の人生が決まってしまうんだから。
ここに残ると決めれば、家族にはもう一生会えないってことになる。
なんで、そんな極端なんだろう。
どうして、違う世界に生まれたんだろう。
こんなにも、苦しい。
「時間はあるんだし、ゆっくり考えろよ」
「ありがとう、カイ」