男装騎士~それから~



きっとそうすれば、私の心はぶれることなく決まっていたかもしれないのに。
レオは、はっきりそう言ってはくれないんだね。


わかってるよ。
それがレオの優しさだって。



私の家族の事を想ってくれてるって。




でも・・・。




「ごめんね。ありがとう。少し、一人で考えてみるよ」

「・・・ああ」




引っかかるの。
レオの婚約者の噂。


私を強く引き止められないのは、そのことがあるから?




レオは、いつか私から離れるかもしれないって思ってる?




だから・・・。





レオを見送り一人になると、ずんと心は重くなる。
考えても、考えても出ない答えに焦りが生まれ、焦れば焦るほど答えなんか出ない。


そんなループにはまっていた。



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