男装騎士~それから~
俺は、許されないことをしたんだ。
許されてはいけない。
俺が、彼女に特別な思いを抱いていいわけがない。
「早く買い物済ませて帰ろう」
「・・・ああ」
だから、今浮かびかけたこの気持ちは蓋をする。
気づかなかったふりを決め込んで、固く固く鍵をかけよう。
ほら、なんともない。
「一雨きそうだ」
フランが空を見上げそう呟いた。
さっきまで青かった空は、いつの間にか灰色に変わっていた。
「急ごう」
慌てて残りの買い物を済ませ、城に向かった。
案の定途中で降り出した雨に打たれ、ついてねぇな、と思いながら城へ急ぐ。