あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「萌香は俺の事嫌い?」
佐川さんはそんなずるい聞き方をした。
でも声が微妙に震えているのが分かった。
いつも私の前では自信満々の佐川さんなのに。
「萌香、寝てないよな。」
そう言われて、私は思わず佐川さんの方を見た。
「さすがに今日は大丈夫か。」
私の顔を見て、ニヤリとする佐川さん。
私も思わず微笑んだ。
そう、私はこの甘い雰囲気に耐え切れず、いつもの二人の調子に戻りたかった。
それは佐川さんもそう思っていたようだ。
いつもの様子の戻った佐川さんが言葉を続ける。
「萌香、もうお前が逃げ出したいと言っても俺は手放せないと思うが良いか?」
そのまま佐川さんの唇が私の唇と重なる。
私はまだ何も佐川さんに言っていない。