あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

でも…。

私の中でも、佐川さんの退職を聞いてから、いろいろな場面で感じたあの寂しい複雑な気持ちの答えが出たような気がする。

佐川さんのキスに反応する私の身体。

何だかとてもうれしい。

じわじわと何か温かいものを感じる。

私はそんな事をふっと意識した。

「萌香。」

佐川さんの唇が離れた。

私はじっと佐川さんの唇を見つめる。

「俺の気持ちは受け取ってもらえるのかな？」

少し茶化すような佐川さんのその言い方。

「佐川さんがもう少し優しくなって、私の事を大事にしてくれるなら。」

私は意地悪そうにそんな答えをする。

佐川さんはとっても楽しそうに声をあげて笑う。