あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

私は…。

「佐川さん…。」

私のやっと出た声はかすれている。

佐川さんは私が今まで見た中で一番優しい表情をしてこちらを見ている。

今朝、目が覚めた時に見た佐川さんの表情を思い出した。

でもその時より数倍も優しい顔。

「私も佐川さんが退職すると聞いてから、おかしかったんです。」

作業着を配る手伝いをしてもらった時に感じた思い。

退職の手続きをすんなり出来なかった思い。

他にもたくさんの場面が頭の中に浮かぶ。

そして…。

「さっきうっすらと答えを見つけた様な気がします。でもそれが佐川さんの事を好きだという事なのか自分ではまだ分からないんです。」

ここへ来るまでの準備に手間取った事もたどたどしく私は佐川さんに話した。

「私、これまで男の人とお付き合いした事が無くて。」

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