あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私は顔を赤くして俯いた。

佐川さんの手が私の両頬を包み、上を向かせる。

佐川さんと私は見つめ合った。

「強引に昨日ここに連れて来られた事や俺がキスをした事は嫌だったか?」

真剣な顔をして佐川さんが私に聞いた。

私は佐川さんの手のぬくもりを感じながら、首を横に振る。

今日は男の人の手だと強烈に意識していた。

「もちろん抵抗出来なかったって事もありますけど…、全然嫌じゃなかった。」

私はきっぱりと答えていた。

「それでいいんじゃない。難しく考えるなよ。嫌じゃなければ俺と一緒に居てくれ。」

そう言ってくれた佐川さんに私は手を伸ばした。

これが私の今の精一杯の答え。

佐川さんは私に身体をもう一度近づいてくれた。

私の伸ばした手が佐川さんの首に巻きつく。

「萌香…。」
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