あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
玄関を出て、エレベーターに二人で乗る。
エレベーターの中で私は聞いた。
「この最上階は佐川さんのおうちしかないんですか?」
昨日は聞けなかった事を今なら聞けそう。
「うん。このマンションは山中建設の持ち物。だから透もここに住んでいるよ。
そう言えば、萌香はいつうちに来る?」
佐川さんの言っている事が分からなくて、首をかしげる私。
「もう婚約者なんだから、一緒に住んでもおかしくないだろう。」
そんな事を平然と言う佐川さん。
「どうしてそうなるんですか?急すぎますよ。」
昨日まで会社の同僚でしかなかった佐川さんとそんなにすぐに一緒に生活を始めるなんて…。
出来ないよ!
「会社の事もあるし、何でも早い方が良いだろう。」
佐川さんは余裕の笑顔。
「佐川さん、私まだ転職するつもりないですよ。」