あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

よくよく聞いて見ると、来年の年度末に退職が決まっていたらしい。

それならちょうど1年早まった事になる。

私は驚いて佐川さんを見る。

「だから二人でお別れ会をしたいんだ。明後日の夜、空いているかな?」

さらっと佐川さんは言った。

私もこんな感じで誘われて、会社の人と退社後に食事に行く事はある。

でもそれは女性が一人になってしまう私を気遣って必ず複数だ。

誰かと二人で…という事は今までなかった。

「佐川さん?」

私の戸惑いが分かったように私を見る佐川さん。

「最後ぐらい良いだろう?」

佐川さんはニッコリと笑った。

少し戸惑ったが、私も特に断る理由もない。

「分かりました。」

私もニッコリと佐川さんに返す。
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