あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

それを合図に私もサラダを取り皿に分けて、一つを佐川さんに渡した。

あっさりとそれを佐川さんは受け取ると、じっと私を見る。

「答えは？」

少しイライラした様な様子。

「一緒に辞めるのはあまり良くないような気がします。私は私なりにきちんと引継ぎしてから、自分のタイミングで転職したいです。それが社長と小夜子さんに対する最低限の礼儀だと思います。」

正論を私に言われ、押し黙る佐川さん。

「だからあと1年くらいは残りたいです。」

「はぁ～？1年？」

周りのざわざわに負けないぐらいの大きな声を出す佐川さん。

私は焦って自分の口に人差し指を持っていく。

「佐川さん、声が大きい。」

今度は私が佐川さんを睨む番だ。

「どうして、そんなに時間が必要なんだ？仕事をしている時も家に居る時も俺は萌香にそばにいて欲しいのに。それもすぐに。」

佐川さんのその表情を見ていると、本当にそう思ってくれているのが伝わってくる。