あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
思ってもみなかった言葉に私は声を出していた。

「萌香は気が付いてないだろうけど、あの会社で萌香の事を狙っている奴が居る。俺が居なくなったら行動に出るかもしれない。心配だ。」

ぐっと腕を組んだ佐川さん。

「そんな人居ないですよ。今までそんな事なかったし。」

私は佐川さんの様子を見て笑ってしまった。

そんな事あるはずないじゃない。

それならとっくにアプローチがあってもおかしくない。

「俺が邪魔していたからだ…。」

ボソッとつぶやく佐川さん。

ビールを飲もうとして、空になって居る事に気が付いて苦笑いをしている。

「萌香には付き合っている奴がいるんじゃないかと牽制しておいた。何故だかその時は口が滑ってそんな事を言ってしまったんだ。」

そう言えば、私が彼氏居ない歴が年齢だと社長と山崎さんに言った時、二人は顔を見合わせていたっけ。

もしかしたら佐川さんの言う事と合わない事に対する反応だったのだろうか。

その時の様子が私の頭をよぎる。
< 117 / 400 >

この作品をシェア

pagetop