あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「大丈夫ですよ。私を信じて下さい。」
私は佐川さんに笑いかけたが、やっぱり不安そうな佐川さんの表情。
「さっき好きでもない男に強引にキスされたと言っていたじゃないか。そんな萌香の言う事を信じられると思っている?」
確かに…。
私は思わず顔を手で覆う。
佐川さんは溜息をついた。
「その事はまた話し合おう。でも日曜日はちゃんと親父に会ってくれるんだろう?」
うっ…、どうしよう。
正直にそう思ったのが私の顔に出たんだろう。
「…まあいい。先に食べてしまおう。」
すごく不機嫌になった佐川さんは、また箸を動かし始めた。
私もおずおずと食べ始める。
私の好きな物ばかり並んでいるのに、お腹が空いてたまらないのに、機械的に食べていると美味しく感じない。