あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
シュンとする私を見て、頭を撫でてくれる佐川さん。
「萌香が思っている事を言ったらいい。俺はちゃんとフォローしてやるから。それに俺の両親は結構物分かりがいいと思うぞ。」
私はさっきから自分ではあまり意識はしていなかったみたいだが、どうも緊張感にとらわれていたようだ。
佐川さんの言葉に、その優しさにフッと力が抜けた。
「佐川さん。」
私は気が緩んで涙が出そうだ。
「どうした?萌香。」
私の様子がおかしい事に気が付いた佐川さんは手を離して私の肩を抱いた。
「心配するな。どんな萌香だって受け入れてやる。自然体でいてくれたらいい。萌香の無理する姿は見たくない。」
そろそろマンションが見えて来た。
私は涙が出てしまわないように、一生懸命にこらえる。
エレベーターに乗った途端、佐川さんは私を抱きしめた。
「萌香、そんな顔するなよ。」