あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
そして拗ねている私の頬にキスをした。

「分かった?」

念押しするような郁也さんの声に、仕方なくうなずく私。

ん?

そこで料理をしている私を離してくれるものだと思っていた。

しかし郁也さんは私から離れない。

「郁也さん、私、朝御飯の準備中なんですけど。」

そう言って私は首だけを後ろに向けた。

待ってましたとばかりに、私の口を塞ぐ郁也さん。

私は思いがけない事に、身体をばたつかせた。

「佐川さん!」

そうとっさに叫ぶ私をじろりと睨む郁也さん。

「会社以外でその呼び方は禁止。」

ニヤリと笑って、もう一度一瞬のキスをした郁也さん。

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