あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

小夜子さんはいつも鋭い。

私の体調が悪い時に無理に出勤すると、すぐに見破られる。

「何か良いことでもあった？」

小夜子さんはじろじろと私の顔を見る。

私はなるべく顔に出さないようにポーカーフェイスを装う。

でも小夜子さんはそんな事お構いなしだ。

私はあまりにもぐいぐい来る小夜子さんに後ずさる。

小夜子さんはにんまりと笑うと、私の耳元でこう言った。

「佐川さんと何かあった？」

私は驚いて小夜子さんを見る。

多分そんな私の様子だけで、小夜子さんはすべてを理解したみたい。

「やっぱり佐川さんは相原さんの事を好きだったのね。」

やっぱりって…。

私は目を見開く。

「だいぶ佐川さんは私に気を使っていたようだけど、そんなの佐川さんの様子を見ていれば、分かっちゃうに決まっているじゃない。これでも人生の大ベテランなんだから。社長にもほのめかしたことがあったんだけど、全く気が付かなかったみたいだし。」