あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
小夜子さんはうんうんとうなずきながら話して、自分の勘が正しかったことが嬉しいようだ。

でもこれで社長が郁也さんのお父さんに私の事を話した理由が分かった。

小夜子さんにこの事を聞いて、社長も郁也さんと私の様子を伺っていたんだろう。

「それで相原さんはどうなの?」

もう好奇心満々で小夜子さんは聞いてくる。

「相原さんはあれだけ佐川さんがアプローチしていてもちっとも気が付いていないんだもの。ハラハラしていたのよ。」

そんな事を小夜子さんが言っていると、そこに社長が入って来た。

「小夜子さん、朝からご機嫌そうだね。」

私は社長に話を続けさせないために、挨拶でごまかそうとした。

「社長、おはようございます。朝礼はまだでしたか?」

白々しい言い方に、自分の焦りを一層感じてしまう。

「うん、これから2階に上がっていくところだよ。ところで退職の時期は決まったの?」

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