あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

今日は午前中に蛍光ペンを取りに来た山根さんだけが居るようだ。

基本営業課は外回りが多い為、夕方誰かが帰ってくるまで誰も居ない事も多い。

「何だ、山根が居るのか。おい、この作業着を配るから手伝ってくれ。」

佐川さんはそう言うと、営業課の中心にあるミーティング用の机に段ボールを置いた。

「えっと、伊藤さんはLなので…。」

私は作業着の上下をセットにしながら、名前を読み上げていく。

山根さんと佐川さんが要領よく各自の机に置いて行く。

よし、これで完了だ。

「山根さん、ありがとうございました。」

私はそう言うと、今度は隣にある工務課へ向かって先に歩き出した佐川さんの後を追った。

すると工務課の前で、佐川さんは私がドアを開けるのを待っていた。

「すいません。」

私は慌てて、工務課のドアを開ける。

「うん。」
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